最近、ワクチンで予防できる病気なのに予防接種を受けないことで病気が広がっている状況が世界中であるようです。特に麻疹(はしか)は以前からWHO世界保健機関が終息目標宣言を何度も出しているにも関わらず根絶していません。ワクチンを多くのヒトが受ければ、病気のためワクチンを受けられないヒトも守られ地球上から病気をなくすことも可能なのです。
これまで人類が地球上から伝染病をなくしたものがあります。それは天然痘です。天然痘ウイルスそのもの自体は実験室内にあるのですが、天然痘という病気はここ何十年地球上では発生していません。これは種痘という予防接種をしてほとんどの人類が免疫をもったのでウイルスが万円しなくなり病気がなくなったのです。現在では天然痘がなくなってしまったので天然痘を予防するワクチンである種痘すらする必要がなくなりました。
ただ、人類は天然痘撲滅のために長い道のりを歩んできました。エジプトのミイラには天然痘のあとが残ったものがあります。天然痘では多くの人がなくなり、回復しても盲目になったり、アバタを残したりしたのです。江戸時代にはお役三病といってかかって生きながらえることが望みだった病気のひとつでした。そのためのお堂が立てられ、御札や赤絵(家に貼って病気が回復すれば川に流す絵)が配られました。
そしてジェンナーの登場です。牛痘(牛の天然痘、稀にヒトにも感染する)にかかった女性の膿をとりそれを少年に植えるとぶつぶつがでましたがしばらくすると治りました。数カ月後この少年に天然痘を接種しても発病しなかったのです。牛痘法の登場です。この方法は当初は受け入れられませんでしたが徐々に広がり、中国を経由した日本にも伝わりました。日本各地で種痘が行われました。長崎では楢林宗建、北海道では中川五郎治、福井では笠原白翁などが普及に務めました。もっとも有名なのは緒方洪庵です。コレラ対策とともに種痘事業に尽力しました。今の大阪大学のはじまりは緒方洪庵がはじめて蘭医学の私塾である適塾と言われています。
その後、ワクチンは改良され粉末になり熱帯地方で冷蔵庫がない地方でも使用することができるようになりました。世界保健機関でも世界天然痘根絶作戦が開始され、とうとう1980年に天然痘患者はなくなり根絶宣言を出すことができたのです。その間の人々に努力や苦労などは計り知れないものがありました。その根絶宣言を記念して日本医学界総会で特別展「天然とうゼロへの道」が開催されました。種痘までの道のりを利用でめぐる素晴らしい展示でした。その後、岐阜県の内藤記念くすり博物館や東京大阪の大丸でも開催されました。この記事はそのときの図録をもとに書きました。ワクチン反対派の方々も人類の感染症との戦いをぜひ知ってもらいたいと思います。ワクチンが普及すると病気がなくなりその恩恵を忘れがちです。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。ワクチン反対派の人たちもこの歴史に学んでほしいと思っています。


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