鼻に吹きかけるインフルエンザワクチン

 今年の秋からインフルエンザワクチンで注射ではないものが日本でも使えるようになりました。フルミストと言います。鼻に噴霧するタイプのワクチンです。このワクチンについてはこの院内報でも2011年に初めて取り上げています。ずいぶん時間がかかりましたがようやく日本でも正式にこのワクチンが使えるようになりました。

 日本でも一部の医療機関がこのワクチンを輸入して使用していました。しかし副反応などがあった場合の救済制度が十分ではありませんでした。このワクチンは弱毒生ワクチンです。一時期その効果が疑われたこともありました。しかし、再検討の結果、今では一定の効果が実証され欧米では再び広く使われているようです。

 痛い思いをしなくて済むので子供達にとっても小児科医にとってもありがたいワクチンですのでこのワクチンについて書いておきます。

 2歳から19歳までが日本では対象になっています。成人はインフルエンザの免疫を強く持っているので効果が低く対象にはなっていません

 小児では通常一回の使用で、一年間の効果があると考えられています。この点は注射型のワクチンよりも長くて良いようです。注射するタイプの不活化ワクチンは通常5か月の効果になります。経鼻ワクチンは弱毒生ワクチンなので、投与後に軽い感染を惹起します。そのため鼻水や頭痛など軽い感冒様の症状が生じることがあります。ただしインフルエンザを発症することはありません。フルミストのウイルスは投与された人から検出されないことは判明しています。

 皮下注射するワクチンは血液中の免疫グロブリンを動員して重症化を予防します。それに対し、フルミストは鼻などの粘膜に働いてウイルスの侵入を予防するわけです。注射は誰でも嫌なものです。子ども達には朗報です。院長もお勧めします。

この鼻に噴霧するタイプのインフルエンザワクチン、フルミストですが供給が潤沢ではないようです。先着順になりそうです。早めのご予約をお願いします。

以下に従来のワクチンとの比較を載せておきます。

タイトルとURLをコピーしました